時計好きの皆様からしてみれば、「世界で最初にクォーツ式腕時計の市販化に成功した」のは、わが国が誇るセイコーである、というのはもはや常識かもしれません。1969年のことでしたね。
しかしながらそれ以前、1957年に、実はハミルトンが電池式腕時計「ベンチュラ」をリリースしていた、ということをご存じでしょうか。もっともこの電池式の時計は駆動方式が電力になった、というもので、精度の制御は機械式時計を踏襲していましたが。
そしてハミルトンは、世界で初めてLED式デジタルウォッチを製造したブランドでもあります。ベンチュラの発表から約10年余の1970年5月6日。パルサーと名付けられたこの歴史的モデルは、文字盤も針も持ちません。ゼンマイを巻く必要もなく、そもそもリューズがありません。
では時刻はどう読み解くかというと、画面に赤いLEDでデジタル式に表示された数字を見ます。2時位置にプッシャーがついていて、そこを長押しすると時刻表示されたり、日付表示を行ったりする仕組みでした。
今でこそデジタルウォッチを見慣れた私たちにとっては驚くようなものではありませんが、当時は「SFのような」と称されました。LEDは当時きわめて高い消費電力であったため、ボタン電池二つを要するほど、大型だったことも見慣れなさに一役買ったのでしょう。
ちなみにパルサーの名前は、高周波帯域でパルス状の電磁波を放出させる天体「パルサー」に由来します。
このパルサー、初代は「P1(パルサー1)」としてリリースしました。
当時は珍しかった(そもそもデジタルウォッチが珍しいのですが)クッションシェイプのケースはK18イエローゴールドで製造されており、なんと価格は2,100米ドル!自動車1台分に相当したとか。ちなみに同時期発売されていたロレックス サブマリーナの10倍の値段だった、とも言われています。
世界限定で400本が生産され、エルビス・プレスリー氏やキース・リチャーズ氏ら著名人の腕元を彩りました。ちなみに映画『007 死ぬのは奴らだ』で、ジェームズ・ボンドを演じる故ロジャー・ムーア氏が着用したことでも有名です。
今回の2020年新作は、1973年に次世代として登場した「P2」をリバイバルした形です。題して「PSR」!ちなみにアメリカンクラシックはハミルトンのコレクション名で、アメリカ生まれの同社の復刻シリーズとなります。
クッションシェイプのケースサイズは40.8×34.7mmで、オリジナルを踏襲。真っ暗な画面に赤いデジタル数字で時刻表示を行うのもまた同一です。まるで映画の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を思わせるような(同作品で用いられたのはカシオですが)、古き良き時代の電子デバイスを上手に再現していますね。
ハミルトンスーパーコピー外装デザインはレトロ一色ですが、当然使われる時計製造技術は最新鋭です。
まず、レトロ風防は当時のルビーではなくサファイアクリスタルを使用しています。
また、ディスプレイはスマートウォッチなどにも用いられる液晶と有機EL(エレクトロルミッセンス)のハイブリッド型で、きわめて薄く軽量かつ省エネ(低消費電力)に仕上がりました。ちなみに当時はプッシャーを押さなくては時刻表示ができなかったのは前述の通りですが、当然今作では常時赤色LEDが点灯しています。
バッテリー寿命は5年となりましたので、むしろそんじょそこらのデジタル時計に比べてかなり長寿命と言えるでしょう。
さらに、新作では最先端機種らしく10気圧防水が確保されているのですが(当時は3気圧防水だった)、これを実現したねじ込み式ケースバックには天体パルサーをイメージした星が刻まれています。
このように、ヴィンテージ好きにもこれからデジタルウォッチを購入しようとしている方にもたまらない2020年新作デジタルクォーツ「PSR」は、ステンレススティールモデルとイエローゴールドカラーにPVDコーティングされた限定モデルの2ラインが発表されました。後者は1970年代に400本限定生産された初代PS1をフィーチャーしているため、1,970本のリミテッドエディションとなります。
また、細かなメタルブレスレットのレトロさと、ブラックラバーベルトのモダンさをも楽しむことが可能です。
ステンレススティールモデルは90,000円、イエローゴールドカラーモデルは132,000円でローンチされます。
実は2010年、パルサー誕生40周年でも「パルソマティック」としてリバイバルモデルがハミルトンから出ているのですが、非常に人気が高く、生産終了した今なおファンが求めて止まない逸品として語り草になっています。
そのため、2020年新作のパルサー復刻モデルも、人気沸騰となることは容易に想像できますね。